この記事では、キャンプ場で気を付けたい虫とその虫たちの行動パターン、特に蚊を中心に対策方法を紹介します。
テント内の虫除け対策、体の虫除け対策、サイト内で過ごすときの虫除け対策、たくさん売られている虫除け剤の成分の違いと選び方、また、もし刺されてしまったらどのように対処していくかをまとめました。
気になることを、目次でチェック。
キャンプ場で気をつけたい虫の特徴と対処法
蚊

血を吸う蚊は、産卵期のメスだけ。朝や、日没後の5〜6時間に行動が活発になり、刺されることが多い。蚊は体温や二酸化炭素に反応して集まってくるので、体温が高め、汗っかきな人は特に好まれます。
ハチ
アウトドアで出会う種類のハチは、主にミツバチ、アシナガバチ、スズメバチです。
ミツバチ、アシナガバチはこちらから刺激を加えなければ攻撃してくることはほぼないので、そこまでの心配は不要ですが、ひとまわり大きいスズメバチは注意が必要。スズメバチにもし出会ってしまったら、低い姿勢になってゆっくり逃げる、薄い色の帽子を被ったり、シャツを羽織るというのがいいです。手で払ったり、走って逃げるとスズメバチは攻撃されていると思ってさらに興奮させてしまうことがあります。
種類 | よくいる大きさ | 生態・危険性 | |
![]() | ミツバチ | 1cm | ハチの中でも比較的大人しい。 凶暴ではないが、刺激を与えると刺されることも。 |
![]() | アシナガバチ | 2〜2.5cm | 基本的に大人しい性格だが、強力な毒針を持っている。 直接巣を刺激など驚かせると、攻撃される危険性あり。 |
![]() | スズメバチ | 3〜4cm | 9月中旬から10月中旬にかけて、交尾の時期を迎え、攻撃的に。 巣に近づくだけで危険。 |
ムカデ

ムカデの活動する時期が年に2回。5〜6月の産卵の時期と、9〜10月ころ、生まれた子供が餌を取りに出かける頃です。ムカデは普段はじっとしていてあまり動かないけれど、目が退化していている為触覚に頼って生活しています。動いているものに触れたときは瞬時に反応、動きがとても素早いです。暖かいところを好み、温度が18度以上になると活発になります。
ムカデと運悪く接触してしまうと、攻撃性が強く咬まれてしまいます。咬まれると毒が出て、咬まれたところが炎症を起こします。咬まれて即座に激しく痛み赤く腫れてきます。ただ、それで重篤になるということはほとんどありません。
ブユ(ブヨ)

ブユは、体長の発生時期は3〜10月で、特に6〜9月は活発に行動します。夜行性ではないですが、日中の暑い時間にはそれほど行動していなく、朝夕の涼しい時間帯に飛び回ることが多い。
蚊と違い、皮膚を噛み切って吸血します。ただ刺されて血を吸われるよりも、深い傷ができ、噛まれたときの症状は蚊に比べると重くなります。
刺された直後はブユから出す麻酔成分で痛みは少なく気付かないこともありますが、しばらくすると猛烈な痒みと腫れに襲われることに。刺されて数時間後から、数日は症状がひどくなります。
アブ

アブの姿はハエと酷似していて、油断されがち。成虫の体長は20mm程度です。しかしアブは攻撃的で吸血のため人間を狙ってきます。7〜9月が活動が多い時期。蚊やブユと同じく産卵期、栄養を必要としているメスだけが吸血をします。ブユと同じく皮膚を噛み切るように吸血します、刺されると腫れたり、痛みや痒みに襲われます。
マダニ

マダニは、屋外にいる大型のダニです。春から秋にかけてと暖かい時期に活動が活発になります。成虫は体長が3mm〜1cm近くあり肉眼で見ることができます。山岳地帯や、草むら、森林などに広く生息している為、自然の中のキャンプでも注意が必要です。
マダニの栄養源は動物の血液です。マダニは木や草むらに張り付いていて、人や動物など、寄生できる生物が通りがかるのを待ち伏せします。
動物が排出する二酸化炭素を察知して飛びつくとのこと、吸血場所を決めて吸いつきます、その際に口から麻酔が出るので、吸血されていることになかなか気がつかないとのこと。しばらく皮膚に吸い付いている状態のマダニ。吸血中にマダニを無理に剥がそうとすると、マダニの口が皮膚の中に残る可能性もあって危険。殺さずに医療機関で適切な処置を受けることが推奨されています。
または、どうしても取りたい時は、マダニの上からワセリンを塗り窒息死させて毛抜きなどで体がちぎれないよう優しくぬきます。
(YouTubeで、マダニの抜き方で検索して見てみるのいいです…)
感染症の心配もあります、咬まれてから6日から2週間程度の潜伏期間を経て、原因不明の発熱や嘔吐、下痢などがないか、注意深く過ごしてください。
子供も大人も蚊に刺されない為の対策
虫対策の服装をする
夏場だったとしても、長袖や長ズボンで肌を露出させないのが一番。さらに、蚊やハチは黒色や濃い色を狙う為、出来るだけ白に近い色の服装がオススメ(青より水色など)
とはいえ、気温によっては長袖などが暑くて大変かと思います、その場合は、露出している肌の部分を虫除けスプレーなどでガードしましょう。
防虫香や蚊取り線香をたく。特に「パワー森林香」がキャンプで人気のわけ

野外では、蚊取り線香やアウトドアの虫除けに名高い森林香がオススメです。
形は、よく見る緑色の蚊取り線香と同じですが、パワー森林香はなぜそんなにキャンプやアウトドア向きなのでしょうか。
林業など自然の中で仕事をされる職人さんたちが腰にかけて使います。

他メーカーの蚊取り線香に比べて、1.5倍ほどの厚みがあり、煙の量が格段に違います。キャンプや釣りなど外での防虫に効力を発揮。燃焼時間は6〜6時間半ほどです。
メーカーのコダマ さんのHPをみると、蚊取り線香ではありません、防虫香です。適用害虫がユスリカ、チョウバエ、アブと記載があります。
蚊には効かないの?
と思ってしまいましたが、そんなことはありません、蚊除けにもなります。
医薬品医療機器等法の問題で、「蚊取り線香」とはいえない為、「防虫香」となっており、適用害虫からも蚊が外されています。しかしながら、成分であるメトフルトリンは蚊にもヤブ蚊も死にます。
同じメーカーの森林香と何が違うのかというと、パワー森林香には殺虫成分が含まれているとのこと、その分お値段も高くなっているので、野外で殺虫までは必要なくて防虫だけできればいい、とするなら安い森林香でもいいかもしれませんね。
また、通常の蚊取り線香は、室内でも使うことができるとありますが、
森林香・パワー森林香は、屋外専用です。煙が多く、室内で利用できないので注意してください、もちろんテント内では使えません。
とはいえ、通常の蚊取り線香も、香りやそれなりの煙があるので狭いテント内で使用はオススメできません。
テント内での蚊除け・虫除け対策
テント内では、テント設営後すぐに、ワンプッシュで蚊除けになるスプレーをしておきます。
乾電池で動く電動の虫除けも効果的。
そして何より大事なのが、最終的に寝るスペースのインナーテントの出入口をすぐにチャックをして虫が出来るだけ侵入できないように気をつけることです。
出入りが多い時もありますが、入ったら入り口のチャックを閉める、出たら閉める、を気をつけます。
体を守るのは虫除けスプレーなどの虫除け剤。成分の違いを見て選ぼう。
虫除け剤は主に3タイプに分かれる。ディート、イカリジン、アロマ
よく使われる蚊除けスプレーですが、使い方にもコツがあります。
塗ったつもりでも汗などですぐに落ちてしまうもの。こまめに塗ることが大事。しかし、虫除けによっては1日2回まで、など塗る回数に制限がある場合があります。どのような虫除けを選べばいいのでしょうか。
虫除けスプレーの成分は、大きく3つのタイプに分かれます。「ディートタイプ」、「イカリジンタイプ」、「アロマタイプ」です。
使う目的によって何を選べばいいか変わってきます、ちなみにいろいろ調べるのは面倒だけど、何を買えばいいかな、と迷う方におすすめなのはイカリジンの濃度が一番高い商品(15%)です。生まれたての赤ちゃんでも使って大丈夫です。
ディート配合の虫除け・子供には使用制限あり。

古くからあるディートタイプの虫除けは、日本で初めて承認された虫除け成分です。人間は絶えず呼吸や汗から炭酸ガスを発散しており、蚊などの虫はその炭酸ガスを触覚で感じ取って寄ってきます。ディートという成分は虫の触覚に入り込み、炭酸ガスを感じられなくする作用があります。ディートを皮膚に塗っておくことで、蚊は血を吸う対象の人間がわからなくなります。
虫除けでも、医薬品と医薬部外品があり、濃度に寄って違います。10%以下が医薬部外品、12%以上が医薬品となります。
売られている虫除けスプレーなどの成分をよく確認してから合うものを選ぶといいです。10%から30%までの濃度の違いがあり、濃度によって持続時間や虫除けの効果が変わってきます。30%濃度の虫除けは医薬品扱い。ドラッグストアでも売り場が異なり、お薬コーナーになります。
濃度の高い虫除けの方が、忌避時間が長いとされています。
ディートの濃度5%では約90分、10%で2時間、30%で8時間、100%では10時間虫よけ効果が持続する。従って「繰り返し」塗る必要がある。
Wikipediaより引用
動いていると、汗で流れて落ちてしまうことも多い。虫除けは繰り返し塗った方がいいんです。
ディートのメリットで言えば、対応する害虫が多いことです。
しかし、虫除けを塗ったとしても、時間が経って、落ちてしまったら意味がない、汗などで流れて落ちてしまうことも多いです。
ディートの注意点としては、12歳以下の子供に使う場合には使用の制限があること。

そうすると何回もこまめに塗るってことができません。
子供には何度でも安心して使えるイカリジンタイプがオススメです。
イカリジン配合の虫除け・子供にも使用制限なし。


イカリジンは、2015年に日本で承認された虫除けです。ディート同様、吸血害虫の感知能力を錯乱して、吸血行動を阻止する効果があります。しかし、ディートと違い、子供にも使用制限がなく、小さい子供にも安心して使うことができます。虫除け独特のニオイがなく、メーカーが「ベビーソープの香り」など香料を使っています。
ディートに比べて虫除け効果が低いということもありません。
繰り返し使っても安心・服の上からも使える・虫除け特有の嫌なニオイが無いというのが大きなメリットかと思います。
イカリジン配合が最高濃度の15%の場合、効果持続の最大時間は8時間と長いのです。
ぜひ店頭で買われるときは、濃度について確認してみてくださいね。
アロマタイプ・ハッカスプレーも手作り簡単。

薬品を使うのは嫌、低費用で済ましたい、という場合などに量産できるのがハッカスプレーです。
虫除けとして利用する場合は、これくらいの濃度で作っています。かなりスーッとします。水と油は混ざらないので、無水エタノールを入れることで、ハッカ油でうまくスプレーを作れます。
・ハッカ油 30滴(好みで増減しても)
・無水エタノール 10ml
・精製水(または水道水)90ml
ハッカ油は、ポリスチレンを溶かしてしまうので、容器として選ぶのは、ポリプロピレン(PS)、ポリエチレン(PE)のものがオススメです。

ハッカ油はかなりスースーするので、子供にとってはキツい場合があります。事前に準備をして試してみてくださいね。管理人は、あまり子供に好まれず、夏場は服にかけたり、ゴミ箱のゴミ袋に頻繁にかけて防臭したりと予備的に使っています。
自然派な虫除けスプレーはこちらが人気
香がいいナチュラルな虫除けスプレー、成分は、エタノール(植物由来)、水、コウスイガヤ油、セイヨウハッカ油、ティーツリー葉油、メラレウカビリジフロラ葉油、ユーカリ葉油、加水分解ホホバエステル、シトロネロール、ゲラニオール、リモネンとありました。
爽やかな香りばかりの成分で、虫除けが期待できます。
また、香で虫除けはシールタイプもあります。

ユーカリなどの香りが漂うので、袖などに何箇所か貼るといいです。この香りは、しばらく続きます、ただ、着替えをする際に剥がすので、いったん剥がすと粘着力がなく再度貼れないのが残念です。
虫除けスプレーなどと組み合わせて使うのも良いですね。
足裏にアルコールを塗るという蚊除け対策も
以前、話題になった、【蚊に刺されやすい妹の為に蚊を研究し、足の消毒をすることで蚊に刺されなくなることを発表した当時高校生の田上大貴さん】をご存知でしょうか。
参考:田上大貴さん「蚊が何故人間の血を吸いたくなるのかを、ヒトスジシマカの雌の交尾数で検証する」
蚊に刺されやすい人の足の裏には、そうでない人に比べて約3倍の常在菌が存在し、その中の特定の菌が蚊に刺されやすい要因となっていることを研究の上、発表。
その前提で、蚊に刺されない為の対策はこちら。
・除菌シートで足首から足の裏までを拭く。
・アルコールで足首から足の裏までを消毒する。
・靴下を取り換える。
・石鹸で足をしっかり洗う。
・・・など
蚊に刺されやすいタイプの方は効果がありそうです。感染症予防にアルコールや除菌シートを持ち歩く方も多いと思います、ぜひ、足裏除菌も試して見てください。
蚊に刺された時の対策・応急処置
たくさん対策をしても、刺されるときは刺されてしまいます。
実際に被害にあってしまった時はどのような対策をすればいいでしょうか。
毒素を抜く
蚊、ブユ、アブに刺されたあとすぐに、体から毒素を抜くのが効果的です。その時にやくに立つのがポイズンリムーバー。使う出番が少なかったとしても、救急グッズの中に用意しておくといいです。口で吸うのは、毒が口から入ってしまう可能性があるのでNGです。
ハチや毛虫に刺されて針が皮膚に残っているときは、テープや毛抜きで慎重に抜く方がいいです。針が残ったまままま掻きむしってしまうとより悪化してしまいます。
ステロイド軟膏を使う
虫の種類に関わらず、症状が悪くなる前に、薬局などで販売されている、抗炎症作用のあるステロイド軟膏で対処するのが一番です。
効き目にこだわった「PVA+ジフェンヒドラミン塩酸塩」の組み合わせ処方です。ムヒアルファEXは、このような虫さされ用に開発されたクリームタイプのかゆみ止めです。炎症によく効くアンテドラッグ型抗炎症成分(PVA:プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)に、すばやくかゆみをおさえる成分(ジフェンヒドラミン塩酸塩)を組み合わせた、効き目にこだわった処方です。蚊はもちろん、ダニ・ノミ・毛虫・ムカデ・クラゲなどによる虫さされ・かゆみにも効果を発揮します。
ムヒアルファEX説明文書より
結構強い薬で、ムカデなどの毒虫が対象とパッケージには記載ありますが、蚊にも効果があるとのこと。アウトドアで蚊に何箇所も刺されてしまって、その痒みが1週間続くほどだった、というのもよくあります。こういった効き目重視の薬を一つ持っていると安心です。
赤ちゃんには、生後6ヶ月から使用できます。
キャンプでの危ない虫はどんな虫か、また被害に遭わない為の対策を最大限した上で、万が一刺されてしまったときなどにも、適切な対処ができるよう準備を万全に臨みましょう。